日本の子どもは貧しいのか(その3)
しつこく子どもの貧困について考える
昨日の続きです。
これまでの話をざっくりまとめます。
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・日本の子供の幸福度は総合6位(ユニセフ調査)。
・教育などが1位だが、物質的豊かさは21位。
・日本の子供は物質的に豊かではないのか?
・「相対的貧困率」が悪化している。(14.6%)
・しかしそれは今に始まったことではない。
(昭和60年の時点で10.9%)
・日本では、税金による所得再分配が、
子供のいる貧困家庭に対して機能していない。
・日本の福祉は年金と医療に偏り、
「福祉その他」の割合が少ない。
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ということでした。
イメージしやすくするためにつくった簡単な例を再掲します。
・夫、妻、子ども2人の4人暮らし。
・夫の年収が手取り180万円(月15万円。ボーナス無し)。
・妻のパート年収が手取り44万円(月3.6万円)。
これ以下の生活状況が相対的貧困とされている。
そして、子どもがいる家庭のうち、
全体の14.6%が、相対的貧困ということになります。
そして、欧米諸国との比較です。
注目すべきは「福祉その他」の割合が日本は少ないということ。
厚生労働省:政策レポート(社会保障の給付と負担の現状と国際比較)
子育てに回る福祉は少ない
上のグラフをもう一度見なおしてみます。
「その他福祉」のところに、「うち介護」と書かれています。
介護も「福祉その他」に含まれるんですね。
では、介護部分を引いたら、「福祉その他」はどうなるでしょうか?
日:4.66%(うち介護1.63%)→3.03%
米:2.99%(うち介護0.01%)→2.98%
英:10.70%(うち介護0.78%)→9.92%
独:10.95%(うち介護0.27%)→10.68%
仏:12.02%(うち介護0.12%)→12.90%
瑞典:18.30%(うち介護3.42%)→14.88%
アメリカとほぼ同等。ヨーロッパとの差はさらに広がります。
「子供の貧困」に関しては、
日本の福祉政策において後回しにされている。
残念ながらそういう印象を持ちました。
日本の福祉政策
なぜこのような福祉政策を日本は推進してきたのか。
厚生労働省の説明です。
平成24年版厚生労働白書 −社会保障を考える− (本文)|厚生労働省
「第3章 日本の社会保障の仕組み」の「第3節 日本の社会保険制度」
の中でこのように述べています。
日本では、国民の生活基盤の安定は、右肩上がりの経済成長や低失業率と、それらを背景とした企業の長期雇用慣行(終身雇用を前提とした正規雇用)、地域の雇用維持のための諸施策(公共事業による雇用創出等)など、男性世帯主の勤労所得の確保によるところが大きかった。
そして社会保障は、どちらかと言えばこれを補完する役割を担ってきた。その結果、他の先進諸国と比較すると、社会保障支出は規模の点で小さく、そのために必要となる負担も抑制されてきた。支出面ではっきり増大してきたのは、高齢者人口の増大に伴い、人々が職業生活を退いた後の年金給付や高齢者の医療費等であった。
また、男性世帯主が仕事に専念する一方で、子育てや介護については、家庭内での家族によるケアへの依存度が高く、特に、専業主婦の奮闘によるところが大きかった。
このように、日本の社会保障制度には、①国民皆保険・皆年金制度、②企業による雇用保障、③子育て・介護の家族依存(特に女性に対する依存度が高い。)、④小規模で高齢世代向け中心の社会保障支出、といった特徴があったといえる。
まあ、以前からよく言われているようなことですよね。
子育ては家庭(特に女性)の問題だった。
だから社会保障のサポートは少なかった。
簡単に言うとこういうことです。
この仕組みが成り立つためには、
父親と母親が両方とも健在、
かつ父親の稼ぎが十分であることが前提条件です。
逆に言えば、その条件を満たさない家庭は、
昔から、社会保障のサポート外に置かれていた、
そういうことなのかもしれません。
では、どうするのか?
しかし、この財源不足の中、
お前はどうすればいいと思っているの?
当然そうなりますよね。
現時点での自分の意見は、
国民の医療費負担をさらに上げ、
貧困状況に陥っている子どもに回す、です。
高齢者叩きととってほしくないのですが、、、
一般に高齢者のほうが医療費がかかり、
子どものほうが医療費がかかりません。
したがって一種の世代間資産移転になると考えています。
もちろん考えなければいけないことは山ほどあります。
高額医療については様々なケースを考えなくてはいけません。
貧困家庭の子ども自身に確実に福祉が回る仕組みも必要です。
そもそも日本における子どもの貧困とはなにか?
それも考える必要があります。
衣食住が足りないのか。教育環境の格差なのか。
ただ、ひとつ言えるのは。
子供は親を選べません。
そして、子供自身の力で安定した収入を得ることも難しい。
だから、本来であれば社会福祉は真っ先に子どもに向けられるべき。
そう僕は考えています。