日本の子どもは貧しいのか(その1)

 

子供の幸福度 

 

子供の幸福度、日本6位 ユニセフが先進31カ国調査 :日本経済新聞

 

今朝、こんな記事がリリースされました。

 

国連児童基金(ユニセフ)と国立社会保障・人口問題研究所は25日、子供に関する教育や住環境、健康面など5項目の現状を「幸福度」として算出、先進31カ国の中で日本が6位との報告書をまとめた。

 5項目の中には日本がトップになった分野もあるが、各国内での経済格差の度合いなどを示す「物質的豊かさ」が21位と低く、足を引っ張った。子供がしわ寄せを受けている実態が浮き彫りになった。

 5項目のうち「日常生活上のリスク」の低さと「教育」は日本が1位で、「住居と環境」が10位、「健康と安全」は16位だった。

 

各社によって報道の仕方はまちまちです。

 

「教育」と「日常生活上のリスク」など、

いい数値に注目するところもあれば、

子供「幸福度」 先進31カ国中で日本6位 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

 

「物質的豊かさ」

が21位だということに注目しているところもあります。

子供の幸福度、日本6位 ユニセフが先進31カ国調査 :日本経済新聞

日本の子どもの幸福度は6位 豊かさの一方、深刻な貧困:朝日新聞デジタル

 

それはそれでおいといて。

 

 

日本の子どもは物質的に豊かではないのか?

という点については、僕も以前から気になっていました。

 

いい機会なのできちんと考えてみたいと思います。

 

 

物質的豊かさとはなにか?

 

今回の調査での「物質的豊かさ」の定義は、

「物質的豊かさ」は国ごとに標準的な所得の半分未満の世帯で暮らす子供の割合で比較し、割合が大きいと評価が下がる。日本は14.9%、1位のフィンランドは3.6%、最下位のルーマニアは23.6%だった。

子供の幸福度、日本6位 ユニセフが先進31カ国調査 :日本経済新聞

 

とのこと。

 

 

つまり国としての貧乏度は関係ない。

 

そうではなく、子どもがいる家庭が、

国全体のどこに位置しているのか、ということです。

 

 

標準的な、というのが不明瞭なので、出典をあたりました。

ユニセフ・イノチェンティ研究所 出版物|日本ユニセフ協会

http://www.unicef.or.jp/library/pdf/labo_rc11ja.pdf

 

※しかし、報道記事に出典のリンクがないのはなぜ?

 今朝の時点では上がってなかったのかな。

 

 

PDFのp.9に、「物質的豊かさ」の定義がありました。

 

物質的豊かさの評価

 

<金銭的剝奪>

 

子どもの相対的貧困率

(等価世帯所得が中央値の 50% 未満の世帯で暮らしている子どもの割合)

 

子どもの貧困ギャップ

(各国貧困ラインと、貧困ライン未満の世帯の世帯所得の中央値との隔たり)

 

<物質的剝奪>

 

子どもの剝奪率

(特定の物が欠如している子どもの割合)

 

 

3つの指標で物質的豊かさを判断しています。

所得はそのうちの一つ、相対的貧困率を明らかにするために使われます。

 

子どもの相対的貧困率は、世帯の可処分所得が中央値の 50% 未満(税金・社会保険料と各種の社会保障給付を考慮し、世帯人数と構成に応じて調整した数値)の世帯で暮らしている子どもの割合である。(p.10)

 

 

日本の状況

 

 

日本の状況はどうか。

平成21年のデータですが、

この定義に沿ったわかりやすいものがありました。

 

平成22年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

 

平成21年の貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)は 112万円(実質値)となっており、「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯員の割合)は 16.0%となっている。また、「子どもの貧困率」(17歳以下)は 15.7%となっている。
 「子どもがいる現役世帯」(世帯主が18歳以上65歳未満で子どもがいる世帯)の世帯員についてみると、14.6%となっており、そのうち「大人が一人」の世帯員では 50.8%、「大人が二人以上」の世帯員では 12.7%となっている

 

等価可処分所得の算出方法は、こちらを参照ください。

統計局ホームページ/全国消費実態調査トピックス-日本の所得格差について-

 

 

イメージしやすくするために例を挙げると、

 

・夫、妻、子ども2人の4人暮らし。

・夫の年収が手取り180万円(月15万円。ボーナス無し)。

・妻のパート年収が手取り44万円(月3.6万円)。

 

これ以下の生活状況が相対的貧困とされている。

 

そして、子どもがいる家庭のうち、

全体の14.6%が、相対的貧困ということになります。

 

 

さて、この数字、どう見えますか?

 

厳しいなあ、と思う人もいれば、

これぐらい普通だよ、と思う人もいるかと思います。

 

 

都心と地方で物価水準、給与水準はかなり違いますし、

 なにより子どもの年齢によって状況は変わります。

 

仮に上の夫婦がまだ二十代前半で、

子どもも一歳、二歳だと、そこまで違和感もありません。

 

 

なのでこれ単体で判断してはいけません。

重要なのは、過去からどのように推移してきたか。

 

平成21年においては、

『「子どもの貧困率」(17歳以下)は 15.7%」』

 

厚生労働省のグラフをそのまま引用します。

 

 

指標 昭和60年 63 平成3年 6 9 12 15 18 21
相対的貧困率 12 13.2 13.5 13.7 14.6 15.3 14.9 15.7 16
子どもの貧困率 10.9 12.9 12.8 12.1 13.4 14.5 13.7 14.2 15.7

平成22年国民生活基礎調査の概況|厚生労働省

 

 

どうでしょうか。

やはり悪化しているように見えます。

 

仮に、この間、

初産平均年齢が下がり続けているのだとしたら。

 

つまりお父さん、お母さんの年齢が、

どんどん若くなるということですから。

 

一概に悪化とは言えないと思います。

でも、そうではないですもんね。

初産年齢30歳超す 「一生結婚しない」男女とも最高 :日本経済新聞

 

 

あえて良い点を探すと、

平成21年の数値が15.7で、今回のユニセフの調査が14.9ですから、

少しだけ改善していると、、、言えなくもないのかなあ。。。

 

いずれにせよ、何か考えなくてはいけません。

 

 

さて、あまりに長くなってしまいました。

 

一旦ここで切って、明日もう少し考えてみようと思います。