雑誌のEC化、ECの雑誌化
ECサイトが雑誌に近づいていく
ECサイトと雑誌とを近づけようとする試みを、
ここ二ヶ月で、2つ目にしました。
アラタナ、ファッション系ウェブマガジン運営会社をグループ化~メディア×eコマース事業開始 (1/1):MarkeZine(マーケジン)
ECサイトのコンテンツを雑誌形式で配信、まだ見ぬ顧客と出会うソーシャルコマースサイト「People & Store for Business」 (1/1):MarkeZine(マーケジン)
メディアを発端にECサイトを組み込んでいく。
あるいはECサイトをメディア化していく。
前者ですと、ほぼ日ストアが、
後者ですと、D&D Departmentが、
思い浮かびます。
中小ECサイトのブランディング方法
ECサイトにちょっと特集記事を加えたというレベルではなく、
webマガジンの中に、商品紹介と購入ボタンを忍ばせるような形。
どちらかというと、
大手企業よりは中小ECサイトのほうが、
この方向を志向しているように見えます。
ちょっと探してみたのですが、
こういう感じですね。
サイトのブランディングとして中小でも取り入れやすい。
そういうことなのかもしれません。
サイト運営者の芸能人化
一方で、ほぼ日ストアとD&D Departmentは、
いわゆる「芸能人的知名度」のある人が主催しています。
だからこそ成り立っているのではないか?
という疑問は無視できません。
そこで、普通のECサイトがおなじことをやろうと思った場合、
「運営者をどう『芸能人化』するか」
がひとつのテーマになってくるのだろうと思います。
具体的には、サイト上で顔を出し、
TwitterなりFacebookで名前を売っていく、ということです。
この方向性は、
web制作エージェンシーが数年前から取り組んできました。
有名どころは、
などでしょうか。
ECサイトだと、上述の「北欧、暮らしの道具店」が、
その方向を目指しているように見えます。
ユーザーを巻き込んだコンテンツ制作
そして、もうひとつの方向性。
サイトの運営者を目立たせるのではなく、
サイトのユーザー(お客さん・作家さん)に光を当てるやり方です。
ユーザー参加型というよりは、
運営者がユーザーを取材して取り上げる形ですね。
上述のECサイトですと、
「くらすこと」がこの方向性を志向しているように見えます。
また、D&D Departmentも、
シンボルとしてナガオカケンメイさんはいらっしゃいますが、
サイトの構成としてはこちらの方向性ではないかと思います。
どうやって質の高いコンテンツをつくるか
いずれにせよ、
webマガジンのコンテンツの質がよいことが前提の話です。
ただし、一般の雑誌と違って、
ECサイトのwebマガジンはそれ自体が収入源にはなりません。
webマガジン自体を有料化
→今はまだ難しいでしょう。
他社の広告を掲載する
→自社のECサイトで買い物をしてもらうことが、
webマガジンの目的だと考えると、これも難しい。
(web制作エージェンシーだと、LIGがトライしていますね。)
webマガジン自体が収益にならないとすると、
本家のECサイトで生み出す利益から、
webマガジンのコンテンツ制作費用をあてないといけません。
これはけっこう大変なことです。
一般的にECサイトの利益率はそれほど高くないし、
紙雑誌の編集制作費用はかなりかかっているからです。
低予算で質の高いコンテンツをつくる方法を見つけられるか。
これが、成功の境目になってくる。そんな気がします。